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1999 May
 
デザインプレックス
 No.25掲載記事より
      文・岩吉 隆悠

「商品化」されてもなお魅力溢れる作品

「ウゴウゴルーガ」の仕事も終えた94年にはロドニーがインタラクティヴ絵本CD-ROM『Dazzeloids』を発表。コンピュータの祭典であるCOMDEXにおいて「The Best CD-ROM for Children」を受賞した。ロドニーの展覧会を積極的に行っていたギャラリーがギャラリースペースを閉じたということも相まって、作品の創作の大半はMacを使うようになっていった。Nickelodeonのホームページのためにインタラクティヴ作品を制作したり、無表情かつ面白みのないコンピュータの世界にもロドニーの楽しい素敵なアートが拡がっていくことになる。さて、次なるプロジェクトは商品化である。僕がニューヨークで会社を設立してロドニーのエージェントを始めたばかりの頃からお付き合いをしていたソニー・クリエイティブプロダクツのプロデューサーである竹村日出昭さんと温めていた、ロドニーの商品化のプロジェクトがやっと95年に稼働することになった。アーティストの力量と、アーティストの心をよくご理解いただき、その後単なるライセンス・ビジネスではなく、ロドニーの仕事を一緒にプロデュースしていく共同体のような関係を築き上げることにご尽力いただいた。ロドニーのプロダクツというプロジェクトの考えも僕の当初からの計画のひとつであった。というのは、「モノ」は広く一般の人に使ってもらえるものであり、ロドニーのアートを多くの人々と分かち合えるのにふさわしいプロジェクトであると考えていたからだ。ソニー・クリエイティブプロダクツと商品化のライセンス契約を締結して以来、ソニー・グループ各社との仕事が拡がり、プレイステーション版ゲームの『パラッパラッパー』『ウンジャマ・ラミー』やEPICソニーのPUFFYのグラフィックを手がけた。ロドニーがしっかりとしたパーソナリティを持つキュートなキャラクターを生み出すことで、商品化されても魅力溢れるものになっている。また、ファミリーマートのキャンペーンもアーティストの感性をうまく活かし、素敵な世界観を醸し出している数少ない成功例のひとつだと思う。サンダーバニーが数多くの人に愛されているのも嬉しい限り。これからもロドニーの愛らしいキャラクターや素敵なアートを生活のなかに溢れさせ、いろいろなプロジェクトを通して多くの人がハッピーになれば最高!といつも願って止まない。

 

ロドニーとの出会い
この感動をみんなに
アートと音楽の狭間で揺れる
一人でコツコツ創るのが好き
「ウゴウゴルーガ」で一躍日本で認知
「商品化」されてもなお魅力溢れる作品